2013年 03月 21日 ( 1 )

丁と頁の文明開化

  
             「丁と頁の文明開化」   

          先日友人から恵与された志賀重昂著の「日本風景論」、明治27年発行されたものである。、文語体の
          記述は今となっては馴染み憎いもので、贈ってくれた彼も持て余したのかもしれない。
          志賀重昂といえば明治の著名な地理学者でこの「日本風景論」は名著とされたものである。
          この本は日本山岳会が創設70周年記念に「、日本の山岳名著」の一冊として選ばれ復刻されたもの
          だとあり、興味をそそられたたが、やはり難解でしんどい本ではある。しかしこの本を読み進める中で
          奇妙なことに気が付いた。それは文明開化の中で起きた歴史の一ページである。

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          「竹外二十八字詩」は、攝州高槻藩の藤井竹外の漢詩集で二十八字詩とは七言絶句の起承転結の
          七言を合計すると二十八字になる所から来ている。竹外は頼山陽に師事し、七言絶句では右に出る
          者はいないとされたという漢詩人である。

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          この「竹外二十八字詩」のような和綴じの本と「日本風景論」とでは印刷製本のしかたが違うのである。
          
          当時和綴じの本は和紙に木版で、片面印刷で刷られ、袋綴じをし、その袋になる一枚を「一丁」と呼び、
          折り目になる部分に所謂「丁づけ」を付けるのが普通であった。 いまでも原稿用紙の中央にその丁づけ
          部分の名残があるものがある。製本ミスで所謂ページが抜けたり順序が乱れているのを落丁とか乱丁と
          いうのは、ここからきている。
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          本題に戻ろう。「日本風景論」を読み進めていて気になったことである。それは{丁」と「頁」の混用である。
          目次では「丁」を使いながら、本文で各頁に番号を付けて、正誤表の表示も頁である。それは「丁」を「頁」と
          同じ意味に誤用しているとしか思えないのである。「日本風景論」は紐で綴じて和本のように見せながら 
          中身は洋紙に両面印刷した所謂活字印刷である。従って各ページにはページ数が付けられ、「丁づけ」
          ではない。文明開化の渦の中での混乱の縮図を垣間見た気がしたことである。

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          処で、文明開化の中で新しい言葉が次々と入ってくると、それに対応して「珈琲」とか「煙草」という言葉が
          作られた。さてページに対して「頁」という字が充てられたのは何故だろうか。「珈琲」や「煙草」は近い音
          の漢字や近い意味の漢字を充てているが、頁は「ケツ」という音しかない。
          なんでも調べて行くと面白い意外な事が判ることがあり楽しいが、「頁」も私の中では近頃のヒットである。
          「頁岩(ケツガン)」という岩石があり、堆積岩の一種で微細な泥の粒子が水中で堆積したものが脱水・固桔
          して出来たもので、堆積面に沿って薄く層状に割れやすい性質がある。ページに頁の字を充てたのは、
          この薄く割れる性質からだろうという説が、諸説ある中で私は秀逸だと思った。
          ついでに頁岩はシェール(shale)と呼ばれ、今注目されているオイルシェールもその一種で古くて新しい
          話題であるのも面白い。

          いままで「ページ=頁」で何の疑問も抱かなかったのに、志賀重昂著の「日本風景論」が調べるきっかけを
          作ってくれたし、文明開化を潜り抜けた日本文化を考える機会にもなり、この本を恵送してくれた友人K君にも
          改めて感謝しなければと思う。
by kame0401 | 2013-03-21 20:33 | kameの独り言 | Comments(0)

人生二毛作を目指して・・・
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