一枚きりの棟方板画

         一枚きりの棟方板画


        棟方志功は、先の大戦の戦禍を避けて昭和20年に富山県の福光町に疎開した。その当時41歳の
        彼はそれから6年間福光で暮らし旺盛な制作活動を続けた。
        家内の親父の故郷でもある福光は、大阪生まれの私にとって第二の故郷のような気がして 義父に
        案内されて彼が号にしていた故郷の山「桑山」に登り、そこから砺波平野に点在する農家の見事な
        防風防雪林「垣饒(かきにょう)」を望見し、背後の雪を頂く立山連峰の雄大さに見とれたものである。
        また棟方ゆかりの光徳寺や記念館を訪ねたこともあり、元々好きだった棟方志功の板画と人柄を
        いつしか身近に感じるようになっていた。 そんなこともありこの板画を古書店で見つけた時は、
        当時でも安くなかったこの小品に大枚を叩くのを厭わなかったのを覚えている。

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        「棟方板画 愛染品」(1946) として限定103部刊行したものの中にあり、板画16柵の一つ 
        「藝業尊の柵」 とか 「藝業専一の柵」の名前が付いている小さなサイズ(11×14センチ)の
        棟方板画である。


        彼の板画にはこの作品のように裏から彩色を施した「裏彩色」と呼ばれているものがあるが、
        彼によれば、板画の墨と同じく紙の裏から表面に絵の具が滲みこんで自然に筆を通じて板画に
        色が現れるのだと言う。意識して技巧的に彩色していない処に彼独特の味があるのかもしれない。 

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        1948年に刊行された本であるが、この板画はこの本には載っていない。

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        この板画を購入したとき、彼の署名が欲しくて古書店を通じて実物を東京に送りシールを書いてもらった。
        独特の味のある彼の字は大好きで、棟方が故人になった今これも私の宝物である。

        「藝業尊」とは私のように絵を描いたり能面を打ったり、家内のように謡や仕舞を舞うものにとっては
        守り神みたいなものではないか、そう思って平素「藝業上達」をお願いしているのだが・・・・・・・・・
by kame0401 | 2014-08-21 14:16 | 私のガラクタ美術館 | Comments(0)

人生二毛作を目指して・・・
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