オンボロ中啓「西王母」

          オンボロ中啓「西王母」   私のガラクタ美術館 



         私のガラクタ美術館のコレクションは、「なんでもある・ないものもある」のが特色で中には碌なもの
         もある。今回は能で使われる扇「中啓」であるが何しろオンボロで使いものにはならない代物である。
         オークションで見つけて落札したとき、流石の家内も驚いたほどである。届いた中啓は想像以上に
         痛みが激しく、表と裏を剥がして骨を抜く作業から始めたが、ご覧の通り虫食いの穴が至るところにあり、
         金箔や絵具を痛めないように少しづつ少しづつ剥がしていくのである。この中啓はオンボロとはいえ
         品格に優れ、私のガラクタ美術館お気に入りの逸品である。 今は額に入れて座敷に飾っているが、
         家内も今では私の慧眼に一目置くようになった。
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         中啓(ちゅうけい)は能でシテが使う大型のもので、後見や地謡などは小型の鎮扇(しずめおうぎ)を使う。
         表は西王母伝説が裏側は蘺(まがき)と流水に菊がいずれも精緻に描かれている。

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         紀元前1000年頃の中国古代王朝の「周」の穆王

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         精緻な筆さばきと肌色まで描き分けた彩色の冴えは見事で、優れた画工の手になるものと思われる

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         崑崙山に住む女仙人・女神の西王母

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         西王母のお供が捧げるのは3000年に一度実を結ぶと言う桃で不老長寿の霊薬とされる

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          この天池の絵は1988年の中国の旅で、西王母ゆかりの天池を舟で対岸まで渡り、馬などを使い
          ながら天山山脈ボコダ峰のベースキャンプを目指した時のものである。  詳しくは別の機会に。
          下掲はこの中啓に見る西王母の世界を読みこんだ漢詩で拙著漢詩集「天山遊草」よりの抜粋である。


            天池                    天池

            翠瀲瑶池仙女郷        翠瀲瑶池仙女の郷

            清漣透絶似明粧        清漣透絶明粧に似たり

            恍然思到西王母        恍然として思い到る西王母

            快酔湖楼傾酒觴        湖楼に快酔して酒觴を傾くるに


       
     
            天山の雪解け水を湛えたる  天池は仙女の郷と聞く

            透きとおる水面輝くさざ波は   王母の粧い写せしか  

            池の辺の酒楼によりて盃を  重ねるほどに酔うほどに 

            夢か現か旅人の想いはいつか  蟠桃の王母の園を彷徨えり
 



              



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by kame0401 | 2014-09-02 12:33 | 私のガラクタ美術館 | Comments(0)

人生二毛作を目指して・・・
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