里が春なら海も春・頂戴物控

         里が春なら海も春・頂戴物控      

        里が春なら海も春、先月末に解禁された旬の魚「いかなご」の釘煮が今年も届いた。これは家内の
        謡仲間の先輩からの贈り物である。いつもながらホントに上手に炊かれていて、上に添えられた山椒
        の実の緑も心憎いほど映えていた。早速夕飯の時のお酒の友に賞味させて頂いた。
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        今回の絵手紙は文章の行の頭に「いかなご」を読み込んでみた。能の「杜若(かきつばた)」の中の
        詞章に「かきつばた」が読み込まれているのは有名だが、日本人はこう言う言葉遊びの類が好き
        なのだろうか。
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        近頃ターミナルで袴姿の女子大生をよく見かける。卒業式の季節なんだと知らされる今日この頃である。
        いかなごが海の春の象徴なら、土筆はまさに里の春の象徴である。この土筆は家内の姉が淀川の堤で
        摘んできたのを頂戴したもので、佃煮にするには袴を取るのが面倒であくで指が黒く染まるけれど、
        やはり春の味は捨てがたい。


        その昔、会津八一の著書で「頂戴物図録」を読んで、私はその軽妙洒脱な墨蹟に憧れた。後年私も
        頂き物の礼状を絵手紙風にしたところ、似て非なる「頂戴物控」が、それなりに喜んでもらえるから
        不思議である。

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        八一は戦災で焼け出され新潟に疎開していた戦中戦後に、友人,知己、門下から様々な物を贈られ
        ている。彼はそれに対し謝礼は、もっぱら自製の書画を以てしていたという。この図録はその贈り主の
        一人である京都伏見の酒造家M氏に対する返礼の墨蹟である。

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        当時から八一の墨蹟の評価は極めて高く、M氏は後年八一の墨蹟を折帳に貼り秩を造り題字の
        「頂戴物図録」は八一が書いたものである。後年これを復刻出版されたのが本書である。
        昭和48年500部限定で出版・定価15,000円は当時高嶺の花だった。後年古書店で手に入れた
        本書は秩の内に「限定五百部之内本書共五OO番」と朱書きがある。
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        八一が受けた贈り物は書画骨董から日用品の褌やシャボンまで多種多様で戦中戦後の時代を
        物語る意味でも興味深いものがある。





        
        

by kame0401 | 2014-03-18 18:29 | 絵手紙春秋 | Comments(0)