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カイラスの旅(3)

   カイラスの旅(3)


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     聖山霊場「ドルマ峠」 

    躋来 千仭 巨嵒傍         千仭 躋り来れば  巨嵒の傍
  
   五色 経幡 翻四方         五色の 経幡 四方に翻る 

    聞説 西人 祈願処         聞くならく 西人 祈願の処

    渾身 投地 繞霊場         渾身 地に投じて 霊場を繞る
      



       千仭萬丈 登り来て 辿りつきたる 霊場は

       大いなる巌 おわしまし 祈りの経を 印したる 

       幾万片の 五色幡 峠の風に 翻り 仏光荘厳 双ぶ無し

       聞けばこの 霊気漲る ドルマ・ラは 聖山一の 霊場で

       見れば祈りの 幡の下 五体を投げて 地に臥して

       巡れる人の 影あまた 
            

6656メートルの霊峰は、未登峰で登頂は許可されない聖山である。
カイラスを一周する巡礼路は途中のドルマ・ラという5630メートルの峠を越える。
チベット仏教、ボン教、ヒンドゥ教、ジャイナ教の聖地とされチべットだけでなく、インドや世界各地から
巡礼者が絶えない。
仏教徒は右回りに、ボン教徒は左回りに巡礼すると言うので、私達は右前周りにドルマ・ラを目指した。
途中に雪や氷の張った険しい岩路を、多くの巡礼者は五体投地を繰り返して進む。尺取り虫のように
一回の五体投地で自分の身丈の分だけ進むのだから、大変である。さらに驚くのは、自分の荷物は
先ず今日の目標地点まで歩いて、そこに置き、それから元の場所に戻って五体投を始めるのである。
 そこには誤魔化しや要領の入り込む隙の全くない別世界がある。
 ガンジス川畔で荼毘に附されガンジスに還ることを願って、河畔の安宿で死を待つ老人を見た時とは
また別の驚きを感じたものである。日本人の宗教観では到底理解できないことが、眼前に繰り広げられ
ていた。
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                     標高5600米のドルマ・ラ(峠)は聖山カイラスの中でも随一の霊場である。

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チベットは天に近い為か、空気が澄んでいるためか、その空の色は深い濃紺色で、それは深夜の空の色
「ミッドナイト・ブルー」に近い感じがする。
by kame0401 | 2012-06-27 18:51 | 漢詩紀行 | Comments(0)

人生二毛作を目指して・・・

by kame0401
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