2010年 04月 29日
秘境フンザ 漢詩紀行(1)
漢詩集「天山遊艸」より
尋秘境罕蕯宴夕暉 秘境フンザを尋ね夕暉に宴す
満目 黄昏 染客衣 満目黄昏客衣を染め
凭楼 一酔 暫忘機 楼に凭り一酔し暫し機を忘れんとす
葡萄 美酒 玻璃盞 葡萄の美酒玻璃の盞
把比 頽陽 赫色輝 把って比す頽陽赫色の輝きに
スケッチはバルチット古城で、 フンザ王国時代の旧居城。
フンザ王国は、1974年にパキスタンの統治下に入りましたが、いまも、
この地方の実権と名声をほしいままにしています。
サインは 、新王宮に招待された時、暫しの歓談のなかで、厚かましくも
お願いしたものです。
ミールのカザンファール・アリ氏と母堂の名があります。
フンザはインダス河の上流カラコルムにある秘境で長寿の里としても
有名です。春には村中が杏の花で覆われ、まさに桃源郷の世界です。
漢詩のままでは、読んでもらえないので、こんな訳詩にしてみました。
秘境フンザを尋ねて
インダスの 深き峪間は 黄昏れて 旅の衣も 紅に
暫しの憩い 山里の とある酒場の 片隅に
玻璃の盃 酔うほどに かざせば 赫き陽に映えて
さらに麗わし 葡萄の美酒は
イスラム共和国のパキスタンでは 飲酒は堅く禁じられていますが、
ここフンザでは古くからブドウ酒を「フンザ・パニー」と称して、好んで
飲んでいます。パニーとはウルドゥ語で水を意味し、アルコールではなく
パニーの一種だとして、禁断のブドウ酒を飲んでいるところが面白いですね。
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宮本輝の「草原の椅子」に出てくる地名なんで、「おやっ」と、思ってしまいました。
先生から送っていただいた詩集に載ってたんですね、その時は気づきませんでしたが。
フンザ・・・素晴らしい処みたいですね。