2010年 04月 28日
古面の眼差し 能面雑話(1)
古面の眼差し
この面は「猿飛出」です。 世阿弥が「平家物語」にある頼政の鵺退治の
話を脚色して創った能の曲目に「鵺(ぬえ)」というのがあります。
この面は、その鵺の亡霊の面に使えるのではと思っています・・・
鵺は、頭が猿、尾は蛇、手足は虎に似て、啼く声は鳥の鵺の
ようだと言われていますが如何でしょうか。
「猿飛出」
古面の魅力・迫力は、ボロボロに欠けていてもなのか、欠けている
からこそなのか、いまだに良く解りませんが・・・
時空を超えた古面の眼差しは、いつまで眺めていても、何度眺めても
飽きることがない不思議な何かを持っています。
この「猿飛出」が私のところに来るまでの履歴は全く不明です。
何処かの舞台で、誰かがかけて舞っていたのは確かですが。
そんなことを考えると歴史のロマンを感じさせてくれるのです。
ひょんな縁で、私の処へ来てくれたこの面は、このまま、欠けた
ままで次の人に渡そうと・・・
下手な修復などしない方が良い、いやするべきでないと言うのが
私の持論ですが、依頼されると難しい修理も引き受けます。
それは、古面と対峙すると不思議なエネルギーを貰えるからで、
日ごろの能面作りの糧にしています。
これぞ、正に地球にやさしいエコのエネルギーですよね。
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