曲見女   能面雑話(7) 

 

       曲見女と名付けたり
  


      不思議な面ではある。  

      能面の範疇に入るのか、それさえ私には解らない。

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     切れ長の釣り上がったこの眼差しは、何を見詰めているのだろう・・・

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      大きく横に引いたその口は、何を語ろうとしているのだろう・・・
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     見事にしゃくれたその鼻は、どんな気位を顕わしているのだろう・・・



        全く不思議な面である。眼や口鼻など彫刻刀の冴えは、なかなかの腕前である。  
       
        素人が片手間に作ったものでは決してない。                                

        猿楽面の可能性があり、能面として扱われたことはないのかもしれない。 
      
        いや廃曲された能の曲目に、この面が使われていたのかも・・・ 
                       
        
        しかし、そんなことよりも、この曲見女の眼差しの先に、私自身があり、      
     
        能面作りの心を、見透かされているような気がしてならないのである。






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by kame0401 | 2010-06-27 00:00 | 能面雑話 | Comments(0)

天女の泪  kameの独り言(4)

          天女の泪 / 梅雨の贈り物


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         しろがねの  珠の雫よ  君に告ぐ
        
         けがれを知らぬ  その光
        
         はかなく消えよ  つかのまに 

 
        
                
         君がもし  天女のこぼせし  泪なら
         
         いつわり知らぬ  その光
         
         地上の色に  染まぬまに



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by kame0401 | 2010-06-24 01:00 | kameの独り言 | Comments(1)

昔咄・拾い物名人伝  kameの独り言(3)


      「 昔咄・拾い物名人伝 」 (山馬蝗社刊) より           

   岩魚から恋まで / 何んでも拾う男



  それは 昔むかしのことじゃがね /

  あるところに ,拾い物名人と自称する山好きの男があったじゃないの /

  その男が やはり山好きの嫁御ば連れて黒部の源流を目指しとった時のことじゃった /

  河沿いの細い道を歩いていると 川上から一人の釣り人が下リて来たのに出会ったと /

  男は その釣り人に「釣れたかのう」 と声をば掛けたと /

  すると 「釣るには釣れたど 途中で落してしもうたで・・・」 と答えたじゃないの /

  男は この親爺 負け惜しみで釣れたと言うとるべなと 思ったど声には出さなんだ /

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  男は それから さらにずんずん上っていったと /

  したら ななナント道端にば 笹の枝に刺した大きな岩魚が2匹も落ちてるじゃないの /

  嫁御は びっくり オッたまげ 不思議なことも あるもんだ /

  男は しめしめ しめこの兎だ 棚からぼた餅 あるもんだ /

  そして 男は思ったべ 先の釣り人は 熊っこの 精に違いねぇ~

  岩魚を背負って歩くうち わざと落としてくれたのさ /

  その晩 テントを張った山好きの夫婦は早速焚火ばしたもんだ /

  晩飯しは 熊っこがくれた落し物  大きな岩魚を串に刺し 焼いてさ 食ってさ /

  それはそれは 旨かったとさ /

  山好きの嫁御は 拾い物名人と みょうとになって良かったと思ったべな /

  嫁御の話では 男は魚籠ごと岩魚を拾ったことも あると言うから驚くじゃないの /

  何でも良くひろう 拾い物名人のこの男に 一番の拾い物は何かと聞いたらさ /

  そんなこと聞くでねぇ~ と男は 照れながらも そっと 山好きの嫁御よ と答えたと /

  この夫婦は 熊の落し物に味を占め それからも 仲良く山登りを続けたそうな /

  めでたし めでたし /









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by kame0401 | 2010-06-21 01:00 | kameの独り言 | Comments(0)

大正川の畔/生命の輝き   カメラは視た(5) 



    大正川の畔/生命の輝き

           蝶の名前、鳥の名前は人が勝手に付けたもの
           彼らはその名を誰も知らないのです
           それなら貴方だけの、素敵な名前をプレゼントしませんか
           貴方の愛をこめて・・・・そして、そっと 呼んでみませんか

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by kame0401 | 2010-06-15 01:01 | カメラの眼で | Comments(0)

赤色三番叟    能面雑話(6) 



     赤色三番叟?


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     この面は縦に大きく割れて、ひもで繋いであり、顎も大きく欠けている。彩色も
     ボロボロなのだが、その細く小さな眼が優しい微笑みを浮かべて何とも言えない
     雰囲気を漂わせている。私のところに来たのはずいぶん以前のことだが、ご多分
     にもれず由来は不明である。
     不思議な面だなぁ~と思いながらも、忘れかけていた頃、中西通著「能のおもて」
     が出版(1998年)された。 その表紙カバーの写真を見て、不勉強な私は初めて
     三番叟に「黒色三番叟」 と 「赤色三番叟」の2種類があることを知った。

     私のこの面が、その 「赤色三番叟」に当るものかどうかは、判らないが「式三番」
     の「千歳」「翁」に続く「三番叟」が「黒色尉」だけでなく昔は赤色のものがあったことは
     確かで、若しかすると「白色三番叟」と言うのもあったかもしれない。
     いずれにせよ、私にとって、この新鮮な驚きは、この面のお陰だと思っている。 
 
 
     「能面彩色手控巻」  中西通著「能のおもて」より

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                           「黒色三番叟」 と 「赤色三番叟」


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     これは、篠山能楽資料館館長・中西通著「能のおもて」の表紙カバーの写真から
     転載したもので、青い線と線の間が巻物の巾で一面ずつ横に並んでいる。
     本物は現在、資料館に展示中。一見に値する資料である。

     巻頭に「能面彩色手控巻」と書かれた巻物で、長さ622糎、巾26糎、面全体はほぼ
     原寸に近く描かれている。現在のスケッチとは異なり、各面の特徴、骨格をよく捉えた
     画法で、安政三年(1856)に写されたものである。<中西通著「能のおもて」より>







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by kame0401 | 2010-06-09 01:00 | 能面雑話 | Comments(0)

蛍と釈迦と漢詩と   漢詩紀行(2)


          蛍と釈迦と漢詩と


         6月に入ると、蛍の便りを聞くようになる。この季節になると、私はいつも昔訪ねた
         ネパールのルンビニの蛍のことを思い出す。

         そこは、インドとの国境に近く、釈迦誕生の地として有名で、大きな菩提樹の陰に紅い
         レンガの寺院跡が横たわっている。

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               <漢詩集「天山遊艸」より>

          看阿育王石柱 / 阿育(アショカ)王の石柱を看る


         天竺 仏陀 遺跡中        天竺仏陀遺跡の中

         残碑 千古 在荒叢        残碑千古荒叢に在り

         只今 只見 流蛍影        只今只見る流蛍の影  

         黙座 偏思 竹帛功        黙座偏えに思う竹帛の功 



         インド天竺  片田舎  紅きレンガの  寺院跡

         夏草繁る  その中に  残れる柱   その昔

         釈迦の教えを  讃えんと  アショカの王の  建てしとか

         碑文仰ぎて  佇めば  やがてに闇は  迫り来て

         ただに見ゆるは  蛍影  心の闇に  さす光 



         これは、私の漢詩の処女作(1984年)でもあり、思い入れも深い。
        私が、友人の紹介で書家のM師のお宅に伺ったのは、50歳の頃である。

        M師が曰くに 
        「書をやるなら、是非漢詩を作ることをお勧めします」
        「何故なら、書の作品は古来漢詩の名作を題材に選んだものが多いのです。
        漢詩の勉強をして、その深い意味や味わいを理解しなければ良い作品は
        出来ないでしょう。」
        「漢詩の勉強は自分で漢詩を作ることが、一番の近道なのです」・・・・と。

        そんな訳で、M師からは、書に加えて漢詩も教わることとなる。
        そして、前年に訪れたルンビニの印象をもとに誕生したのが、この処女作。

        私のその後の人生を豊かなものにしてくれた漢詩との出会いは、M師との
        出会いあってのことであり、人生に於ける出会いの大切さをしみじみ思う
        ことである。

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        雨季の真夏には、ルンビニを訪れる巡礼や観光客もなく、かえって静かな佇まいを
        見せてくれる。絵にあるような簡素な民家の並ぶ村では、夜になると小川を挟んだ
        街路樹に無数の熱帯蛍がとまり、クリスマスツリーの豆電球さながらに、シンクロし
        て点滅するのである。そのさまは全く見事で、忘れがたい感動を覚えた。


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        ルンビニには、カトマンズの街角で偶然知り合ったネパールの少年の案内で訪れ
        その縁で寺院に泊めてもらった。帰り際に、宿代のつもりで僅かばかりの寄進を
        したら、記念にと頂いたのが遺跡のレンガである。今は大切な思い出の引き出しに。
        ネパールの少年D君は当時日本語を勉強中であり、この後も、一緒に東ネパール
        の ビラトナガールに旅をした。後年来日した彼とは、今も交流が続いている。
        これも大切な出会いの一つである。





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by kame0401 | 2010-06-03 01:00 | 漢詩紀行 | Comments(0)