2012年 11月 23日
鶴天の謎なぞ
鶴天の謎なぞ 私のガラクタ美術館(19)
「鶴天」(かくてん)と言っても、ご存じない方も多いかと思うが、骨董の世界では名の知れた存在である。
丹頂鶴の頭の丹頂と謂われる紅い部分の下にある頭骨で、紅い色をしているのはその為で、貴重なものであるとされてきた。
大きさは直径が18ミリ前後のもので、古来簪や根付けに使われてきたものである。
写真の鶴天の一つは、私が30代の頃、祇園の骨董店で、当時私の骨董の師南役の同僚から勧められて購めたものである。真紅の色と不思議な穴や溝のあるこの鶴天は、得も言われぬ魅力があり、わがガラクタ美術館の収蔵品になったが、今は私のiPoneの先に根付けとしてぶら下がっている。
しかしこの鶴天を手に入れて以来、これは一体何だろうとと思い続けてきたが、謎は解けずに今日まで来た。
最近、別の鶴天を手に入れたのを期に、改めてその謎を考えていた時、これは若しかすると山珊瑚ではないかと思い付いた。
山珊瑚というのはチベットあたりで採れる珊瑚の化石で、紅く染めて首飾りなどの装飾品にされているものである。そう思って見ると、山珊瑚にも鶴天に見られる穴や溝があリ、これは珊瑚の化石特有のものではないかと思えるようになった。珊瑚の質の違いから模様が出来るようで、山珊瑚の中で美しい模様の出る部分が加工され、鶴天とされて請来されたのではないだろうか。 確信はないが、長年の謎に一歩近付いたような気がしている。
それにしても、「鶴天」という命名には、先人の知恵とユーモアが感じられ、骨董の世界ならではの話ではないか。
鶴天その①
鶴天その①
鶴天その②
鶴天その②
手前の二つが鶴天、後ろの少し大きい二つが山珊瑚で鶴天に近い物を磨いて見たら、それらしい雰囲気が
出てきた、並べてみると良く似ているではないか
チべット高原で珊瑚の化石が採れるというのは、不思議な気がするが、何時かヒマラヤのアンモナイトを紹介
するときに詳しい話を・・・・・
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gsj/23/0/23_0_15/_article/-char/ja/